3月1日、高校の卒業式が行われました。

3月1日(月)、高校の卒業式が行われ、319名の卒業生が学舎を巣立ちました。また、卒業式に先立って、卒業記念の「世界の王たるキリスト像」祝別式が2月27日(土)に行われました。校舎西側玄関口に設置されています。これからは学校を訪れる人を大きな手を広げて迎えてくれることでしょう。なお、制作は18回卒業生の中田三穂氏(中田ザビエル工房)です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            長崎南山高校第58回卒業証書授与式 校長式辞

                   「感謝を忘れず、前向きに」    

                                          平成22年3月1日

                                          学校長 松本 勝男

 

 本日ここに、山?陽育友会会長様、吉原昭信同窓会会長様をはじめ、多数のご来賓のご臨席を賜り、第58回卒業証書授与式を挙行できますことは大きな喜びであり、心から感謝申し上げます。

 319名の卒業生の皆さん、そして保護者の皆様、ご卒業おめでとうございます。中学と高校があるこの南山で、3年ないし6年の間に積み重ねられてきたたくさんの思い出を胸に本日の卒業式を迎えた喜びは格別のことと思います。

 特に保護者の皆様におかれましては、心身ともにたくましく成長したご子息の姿に、感慨もまたひとしおのことでしょう。これまでの18年間は、うれしいこともあればつらいこともあったと思います。しかし、長い目で見ると、一つ一つの出来事がご子息の成長の大切な土台になっていることは間違いありません。

 私共教職員も、この3年ないし6年の間、大切なご子息の成長に関わることができたことに、大きな喜びと誇りを感じております。人生の中でも中学・高校の6年間は、思春期の真っただ中で、心身ともに大きく成長する時期であることは、皆様もご承知の通りです。文武両道の男子校であるこの南山で、ご子息は学業にもスポーツにも何事にも一生懸命に取り組み、学校生活を活気あるものにしてくれました。

 特に今年度の体育祭は、珍しく雨に祟られ、途中でスケジュールの変更を余儀なくされましたが、却ってそれがあったからこそ、体育祭の目玉である応援合戦やよさこい踊りには一層熱が入ったように思います。生徒中心の手作りの体育祭が始まって8年目、年ごとに体育祭の内容は進化を遂げ、南山には欠かすことのできない学校行事となっています。

 また、ラグビー部が10年ぶりに長崎県代表として花園の全国大会に出場したことも忘れることはできません。かきどまりの競技場で行われた県大会の決勝戦は、全校で応援し、10年ぶりの花園出場を共に喜びあいました。これまでの10年間、何度も花園出場のチャンスを逃し、悔しい思いをしてきただけに、今回の喜びはひとしおでした。皆様もご承知の通り、花園での結果はベスト16でしたが、今回の花園出場は南山の関係者に新たな希望と自信をもたらしてくれたことと思います。私共教職員も、今回のラグビー部の健闘を機に、これからも多くの皆様に愛される学校となるよう、精進を重ねていく所存でございます。

 さて、卒業生の皆さん、これから皆さんは南山の学び舎を後に、それぞれの進路に向けて旅立つことになります。進学するにしても就職するにしても、これまでにない新しい体験が待っています。ご承知の通りの経済不況で、いろいろな苦労もあるでしょうが、共に学び、共に働く仲間たちと力を合わせて、一つ一つのハードルを乗り越えていってほしいと思います。

卒業される皆さんに私がお願いしたいことはただ一つ、いつも感謝を忘れず前向きに生きてほしいということです。特に「前向きに生きる」ということを私なりにもっとわかりやすく言い換えるなら、「夢を持って毎日の生活に積極的に取り組む」ということです。自分を支えてくれるまわりの人たちに感謝できるからこそ、この人たちのためにも自分の仕事を頑張ろうという気持ちが湧いてきます。そして夢があるからこそ、夢の実現のためにどんな困難にも負けずに頑張ろうという気持ちが湧いてくるわけです。

これまでは親に保護されていた皆さんも、近い将来には社会人になり、今度は自分の子孫を育てることになります。特に皆さんは男として一家を支える大黒柱にならなければなりません。もしも親がおどおどしていたら、子どもは誰を頼ったらいいのでしょうか。

また、皆さんの中には、カトリックの司祭を目指す神学生もいますが、自分の家族を持たない司祭であっても同じことが言えます。司祭が途方に暮れてしまったら、指導を受ける教会関係の人たちはどうしたらいいのでしょうか。

 「男は田んぼの力」とはよく言ったものです。いろいろと難しい問題を抱えている現代社会を生きる私たちだからこそ、「田んぼの力」としてどんな困難にも負けない強い人間でありたいと思います。そんな強い人間を支える力が、まわりの人たちへの感謝の心であり、自分自身が抱く将来への夢ではないでしょうか。

 多くの皆さんがご存じのように、私の両親は秋田で農機具店を営んでいます。決して裕福ではありませんが、両親に育てられた私はひもじい思いをすることはなかったし、将来は教師になるという夢も実現させてもらうことができました。両親にはたくさん遊んでもらったし、両親と一緒に生活してきて、いつもしっかりと守られているという実感がありました。オイルショックや冷害・凶作など大変なことがいろいろあったはずですが、子どもには生活の心配をさせないようにしていたことが今になってよくわかります。

まさに、子どもにも夢と希望を持たせるような生き方を示していくことが、大人が果たすべき責任ではないでしょうか。これは決して難しいことではありません。感謝の心を忘れずいつも前向きに生きる人なら、だれにでもできることではないでしょうか。

どうぞ南山を卒業される皆さんも、そんな大人になってください。私共教職員一同も、2年後の南山創立60周年を控え、皆さんの後輩が夢を持って学校生活を送ることができるように、一層の努力を積み重ねていくことを約束致します。

最後になりましたが、本日お集まりの皆様一人一人の上に神様からの祝福が豊かに注がれますように。皆様のご多幸をお祈りし、学校長の式辞とさせていただきます。

 

 

 

「卒業生のことば」

 

春夏秋冬の色とりどりの表情を見せてきた季節も、また春を迎え、暖かい日差しに包まれる日々がやってきました。

高校生活最後となった今日、私達卒業生はこの長崎南山高等学校を卒業します。そして、私達の門出を祝うために、このような盛大な式を挙げていただくことに心から感謝申し上げます。振り返ってみれば、あっという間に過ぎていった三年間、私達は淡々と過ぎてゆく日々の中で、さまざまな経験をし、一歩ずつ大人への階段を登ってきました。

三年前、まだあどけなさの残る私達は、春風の吹く暖かい日に入学式を迎えました。新たな環境に不安と期待を抱えながら高校生活が始まったのです。校舎のどこを見ても天使のような女の子はおらず、暑苦しいほどの男子生徒の顔しかありません。しかし、そんな南山だからこそ学べることがたくさんありました。目上の人への礼儀、気持ちの良い挨拶、相手を思いやる気持ちなど、数えても数え切れません。今では心から南山で良かったと思っています。

勉強することに終わりはないことを思い知らされた雲仙合宿。苦しかったけれどたくさんの知識を得た早朝そして放課後補習。普段見ることのできない、どこまでも続く真っ白な台地に感動を覚えた修学旅行。照りつける太陽の下、優勝目指して最後の最後まで戦い抜いた高総体。さまざまな行事を通して、私達は着実に成長する事ができました。その中でも特に、生徒主体で作り上げた体育祭は、私にとってたいへん印象深いものでした。生徒会や各ブロック長を中心に、夏休み前から話し合いをし、試行錯誤しながら練習に励んでいた日々は、楽しさの中にも徐々に出来上がってくるパフォーマンスに嬉しさを隠すことができませんでした。本番当日は、生憎の雨にもかかわらず、最高の演技と多くの感動を与えられたことを誇りに思います。このような経験は、この南山にいたからこそ得ることができたのだと思います。

確かに、これまでの日々は決して甘いものではなく、大変辛いものでした。毎朝七時三十分に登校し、夜遅くまで学校に残る日々。宿題に追われ、寝る間を惜しんで勉強に励んだこともありました。ときには、そんな生活に耐えかねて、自暴自棄になったこともありました。しかし、そこには、辛いときに励まし合いながら支えてくれる仲間、時には厳しくもいつも熱心に指導してくれる先生方、そして、最後まで自分の味方でいてくれる家族がいてくれたのです。そのおかげで、辛かった毎日も徐々に楽しく過ごせるようになり、無事に卒業の日を迎える事ができたのだと思います。

私は、このような経験を経て大切な事を一つ学びました。それは、何事にも感謝の気持ちを忘れてはいけないということです。今こうして学校に通うことができることに感謝。

大好きなサッカーを思う存分プレーできる事に感謝。南山という学習環境で勉強できる事に感謝、そして、私をここまで育ててくれた両親に感謝。感謝の気持ちを常に持つことで、私は精神的に一回りも二回りおおきくなることができたと確信しています。この気持ちを忘れずに過ごしていけば、将来立派な大人になれるのではないでしょうか。

 卒業生の皆さん、今日からそれぞれの道を歩むことになりますが、今の世の中は、理不尽な事ばかりです。しかし、この南山で学んだことを忘れなければ、どんな困難にも屈することなく、有意義に過ごすことができると思います。南山で培ってきたどんなことにも屈しない根性と輝かしいほどの青春の日々を胸に、それぞれの夢に向かって頑張っていきましょう。

 在校生の皆さん、皆さんには一つだけ伝えたいことばがあります。それは、次のようなことばです。

 三流の選手は、与えられた環境に不満を抱き、失敗を環境のせいにする。

 二流の選手は、与えられた環境を利用する。

 一流の選手は、自分自身で環境を作り出す。

ということばです。このことばは、部活動をしている人のみならず、全ての人に当てはまるはずです。南山という学校は、熱心な先生方ばかりで、勉強においても部活動においても、素晴らしい環境にあります。自分が置かれている環境に不満を抱くのではなく、環境を利用し、自分だけの環境を作り出す、そんな生徒になってください。そして、何事に対しても感謝を忘れず、オンリーワンではなく、ナンバーワンを目指していけば、それぞれの夢を実現できるはずです。これからの南山に担い手として、南山の新たな伝統を作っていってください。

 最後になりましたが、三年間私達に熱心なご指導をしてくれた先生方、そして、十八年間私達を大切に育ててくれた両親に感謝するとともに、長崎南山学園の更なる発展を祈念して、卒業生のことばといたします。

                                       平成二十二年三月一日 

                                       第五十八回 卒業生代表

                                       小道 啓太

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