3月1日(日)高校の卒業式が行われ、226人が学び舎を巣立ちました。

3月1日(日)本校体育館で高等学校の卒業式が行われ、226名が学び舎をあとにしました。

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長崎南山高校第六三回卒業証書授与式 校長式辞

「たゆまぬチャレンジ精神で上を目指せ」

 

 本日ここに、松田健司育友会会長様、吉原昭信同窓会会長様をはじめ、多数のご来賓のご臨席を賜り、第六三回卒業証書授与式を挙行できますことは大きな喜びであり、心から感謝申し上げます。

 二二六名の卒業生の皆さん、そして保護者の皆様、ご卒業おめでとうございます。中学と高校があるこの南山で、三年ないし六年の間に刻み込まれてきたたくさんの思い出を胸に本日の卒業式を迎えた皆さんの喜びは格別のことと思います。保護者の皆様におかれましても、たくましく成長して今日の卒業式を迎えたご子息を感慨無量の思いで見守っておられることでしょう。

 折に触れてお話してきたように、今年、平成二七年はいろいろな意味で節目の年です。とりわけ、信徒発見一五〇周年、被爆・終戦七〇周年が、長崎で暮らしてきた私たちにとって大きな意味があることに異論をはさむ人はいないでしょう。このような歴史の中で培われてきた長崎の風土は、同じ日本とは言え、他の地域とは何か違ったものがあります。長崎で生まれ育った皆さんはもちろんのこと、南山での三年ないし六年だけを長崎で過ごした皆さんも、きっと知らず知らずのうちに、長崎の風土に馴染んでいるはずなのです。

 特に、南山は、信徒発見と原爆投下の出来事に深い関わりのある浦上の地に建てられたカトリックの男子校であるということを忘れないでください。大司教館や浦上天主堂など長崎のカトリックの中枢的な機関が集中している場所に、カトリックの学校でしかも男子校が存在するということが、どれだけ大きな意味を持つのか……今日の高校卒業式という節目にあたり、卒業生の皆さんにはもちろんこと、在校生の皆さんにも保護者の皆様にも、カトリックの男子校としての南山の価値について、改めて考えていただきたいと思います。

 学園創立六〇周年を機に立ち上げられた「長崎南山リーダーシップ教育」も間もなく満二年になります。特にこの一年間を振り返ってみて、九月の体育祭と一一月のピアノコンサート・ワークショップは、「リーダーシップ教育」の成果が目に見えて現われたすばらしいものだったと思います。

 体育祭は、生徒中心の手作りの体育祭になって一三回目でしたが、年ごとに進化を遂げています。今回も高校三年生が中心になって「先輩たちを超えて行こう」という意気込みで取り組んだおかげで、昨年以上に進化を遂げたものとなりました。これからもきっとこの勢いで、体育祭はどんどん進化していくのではないでしょうか。

 一方のピアノコンサート・ワークショップは、今回が初めての試みでした。ウクライナ出身の世界的なピアニストであるアレクサンダー・ロマノフスキーさんをお迎えし、浦上天主堂でコンサート、そして南山の五階講堂でワークショップが行われました。こちらは高校二年生が中心になって、本番までの約半年間、手探りの状態で準備を進めました。並々ならぬ苦労があったと思いますが、その苦労は、ロマノフスキーさんが奏でる美しいピアノの音色と、それを心から喜んでくれた聴衆の姿に報われたのではないでしょうか。

これからも「リーダーシップ教育」の一環として、毎年のように中・高生が企画・運営するコンサートイベントをやっていくことになります。きっとこちらの方も「先輩たちを超えていこう」という勢いで進化し、高校二年生でコンサートイベントの運営を体験したことが、高校三年生での体育祭の運営に活かされていくという、新しい流れができ上がっていくように思います。

このように、南山が目指す「リーダーシップ教育」というものは、単に進学や就職に必要な知識を習得させる教育ではなく、今社会に求められている力を養成する人間教育です。社会の中で、自分の能力・才能を十分に発揮し、自分を輝かせることができるのであれば、もう立派なリーダーです。卒業生の皆さんは、南山での三年ないし六年でこのようなリーダーになるための土台ができ上がっているはずですから、どうぞ自信を持ってこれからの人生を歩んでいってください。

冒頭の信徒発見と被爆のことに話を戻しますが、迫害や原爆の犠牲になった人たちの中には、卒業生の皆さんと同じ世代の若者がたくさんいたはずです。人生これからという時に不条理なことで人生に終止符を打たなければならなかった彼らの無念さを思うとき、今こうして自分が生きていること、否、生かされているということが、どれだけありがたいことなのかが見えてきます。そんな彼らの思いに応えるためにも、南山で学んできたことをフルに活かし、幸せな人生を勝ち取ってほしいものです。

尤も幸せな人生イコール安楽な人生というわけではありません。体育祭などの例が示しているように、たゆまぬチャレンジ精神でより上のものを目指そうと努力を続けるところに本当の幸せがあるように思います。考えてみると、「リーダーシップ教育」を極めるということも、逆境の中で信仰を守り抜いた方々の思いに応えていくということなのではないでしょうか。

最後になりましたが、保護者の皆様には、これまでの三年ないし六年の間、南山の教育活動に多大なるご理解とご協力を賜りましたことを厚く御礼申し上げます。これからもご子息の母校として誇れる学校であるよう、精進を続けてまいります。本日お集まりの皆様の上に神様からの祝福が豊かにありますように。皆様のご多幸を心からお祈りし、学校長の式辞といたします。

 

平成27年3月1日

学校長 松本 勝男

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