3月1日(木)、本校体育館で第60回卒業式が行われ、230名が本校を巣立ちました。
●長崎南山高校第60回卒業証書授与式 校長式辞
「南山の絆は不滅」
平成24年3月1日 学校長 松本 勝男
本日ここに、深堀浩育友会会長様、山本敏実同窓会副会長様をはじめ、多数のご来賓のご臨席を賜り、第60回卒業証書授与式を挙行できますことは大きな喜びであり、心から感謝申し上げます。
230名の卒業生の皆さん、そして保護者の皆様、ご卒業おめでとうございます。中学と高校があるこの南山で、3年ないし6年の間に積み重ねられてきたたくさんの思い出を胸に本日の卒業式を迎えた喜びは格別のことと思います。
勉学もスポーツも何事も全力投球で取り組む南山での学校生活から、皆さんは何を学び取ったでしょうか。3年ないし6年の学校生活の中には、嬉しいこともあれば、辛いことや悔しいこともあっただろうと思います。しかし、一つ一つの出来事が皆さんの血となり肉となって、これからの皆さんの生活をがっちりと支えてくれるはずです。
進学するにしても就職するにしても、皆さんにはこれまでにない新しい生活が待っています。嬉しいことや楽しいことがたくさんある一方で、これまで以上に辛いことや悔しいこともたくさんあるだろうと思います。しかし、たとえそうであっても、自分で選び取った道であるならば、どんな困難にも必ず耐え抜いていくことができるし、厳しさの中にもやりがいを感じることができるはずです。これまで南山で鍛えられてきた皆さんであれば、きっとできます。
皆さんは記念すべき第60回の卒業生です。ご承知の通り、今年は南山創立60周年の年です。しかし、皆さんの在学中から南山の中では創立60周年に向けて確かな動きがありました。それは「伸びる南山、伸ばす南山」というブランドコンセプトの立ち上げです。このブランドコンセプトを盛り込んだ学校の新しいロゴマークもできました。特に皆さんが学校生活の牽引役となったこの1年間は、毎日の授業やクラブ活動、体育祭や文化祭といった学校行事など、学校生活のあらゆる面において、このブランドコンセプトが意識されていたのではないでしょうか。
このブランドコンセプトは、60年にわたって南山が頑張ってきたことを端的に表しています。生徒も教師も一丸となって更なる上を目指して伸びていこうという先人たちの努力の積み重ねが、今の南山を創り上げてきたのだというメッセージを読み取ることができます。そして皆さんの頑張りもまた、ブランドコンセプトの普及に大きく貢献してくれるものと信じています。どうぞこの南山で頑張った自分に誇りを持って、これからの人生も更なる理想を求めて前向きに歩んでいってください。
保護者の皆様におかれましては、心身共にたくましく成長したご子息の姿を感慨無量の思いで見守っておられることと思います。特にこの1年は東日本大震災に揺れた1年で、折に触れて絆の大切さが訴えられていました。被災地から遠く離れたこの長崎で暮らす私たちも、被災した方々に思いを馳せながら、人と人を結ぶ温かな力強い繋がりを改めて見直すことができたと思います。それと同時に家族の絆の大切さも再認識することができたのではないでしょうか。
ご子息が今日の晴れの卒業式を迎えるまでの18年間、親子の間で家族の中でいろいろなことがあったと思います。私自身もそうでしたが、親子の間のコミュニケーションに苦労した時もあったことでしょう。親が自分にとってかけがえのない存在であることを心の深い所では充分わかっていながらも、子どもはいろいろと心配してくれる親の言動を鬱陶しく感じて反抗的な態度を取ることがあるし、親の方にしてもついつい先輩風を吹かせて一方的な物の見方をしてしまい、子どもの本音を見落とすこともあります。しかし、そのようなすれ違いも、親子の絆があるからこそ、家族の絆があるからこそ、たとえ時間を必要とすることがあっても、必ず解決することができるし、一つ一つの壁を乗り越える度に、お互いの絆はますます強いものになっていくのではないでしょうか。
南山での学校生活においても同じことが言えると思います。生徒と教師の間で、あるいは生徒同士の間にあっても、いろいろな葛藤があったはずです。しかし、一人一人が南山を中心とした絆で結ばれ、同じ方向を向いて努力を積み重ねてきたからこそ、一つ一つの葛藤を克服して、お互いの絆が一層強まったことを私は信じたいと思います。
卒業生の皆さん、皆さんはこれから進学や就職で別々の道を歩いていくことになりますが、この南山の中で育まれてきた絆は、決して途切れることがないのだということを忘れないでください。今も昔もこれからも、南山は皆さんの母校です。これから社会の荒波に立ち向かう皆さんの励みとなることができるよう、精進を重ねていくことをお約束します。
この18年間、様々な出会いの中で「この人がいてくれたから自分は今日まで頑張ってこられた」という出会いが、皆さんにも1つや2つはあるはずです。しかしその一方で、皆さんの頑張りが知らず知らずのうちにまわりの人たちの励みになっていたということもあるはずです。このような相互の励まし合いが、私たちの人生にかけがえのない支えとなるのではないでしょうか。どうぞこれからの新しい生活においても、互いに励まし合い競い合えるようなすてきな仲間と出会い、夢と希望にあふれる日々を過ごしてください。
最後になりましたが、本日お集まりの皆様の上に神様からの祝福が豊かにありますように。皆様のご多幸を心からお祈りし、学校長の式辞といたします。
●卒業生のことば
例年になく雪が舞った冬も終わりを告げ、梅の花の咲きにおう季節になりました。また私たちの卒業を後押ししてくれるかのように、小鳥のさえずりが聞こえてきます。
私たち長崎南山高校三年生○○○名は本日、晴れて卒業の日を迎えることができました。ご来賓の方々、保護者の皆様のご列席を賜り、このような盛大な卒業式を挙行していただき感激しております。 卒業生を代表し、心から感謝を申し上げます。
私たちはこの高校三年間を、勉学や部活動・生徒会活動などの様々な活動に捧げてまいりました。今、三年間を振り返ってみると様々なことが思い出されます。
期待と不安が入り交じりながら南山高校の門をくぐった入学式や外部の環境を一切遮断してひたすら勉強に打ち込んだ雲仙合宿、南山の男子校ならではの伝統を引き継ぎみんなで最高の汗を流した体育祭、いままで見たことのない北海道の雪景色と広い大地に圧倒された修学旅行、クラブ生が優勝のためにチーム一丸となって戦い感動のドラマを生んだ高総体など各々の心に刻まれた忘れられない思い出となりました。
これから私たちは南山での思い出を胸に、そして、南山で学んだことを活かして社会へ羽ばたいていきます。その中で、学生、あるいは社会人として責任を持った行動を心がけていかなければなりません。
今、世界は「一〇〇年に一度の不況」と言われ、日本もその煽りを受けています。デフレ・スパイラルや雇用不安、ワーキング・プア問題、度重なる政治の迷走など・・・。私たちはこの閉塞した社会の中で生き抜いていく必要があるのです。また、この世の中を変えていかなければいけません。そのためには、チャンスが巡ってくるのをただ待つのではなく、チャンスを自らつかみに行くような自発的で積極的な行動をしていく必要があります。
昨年亡くなられたスティーブ・ジョブズ氏は「Stay
hungry, Stay foolish」という言葉を残しておられます。
何事にも慢心せずさらに上を目指して精進する心や、目標に向かって馬鹿正直に突っ走る気持ち。これらのことは、今の私たちに欠けておりこれからの時代を生きていくうえで最も重要なことでしょう。そして、「私たちの世代がこの暗い世の中を変える」という強い意志を持ってそれぞれの道へ向かって歩みを進めていきたいと思います。
在校生の皆さん、皆さんに伝えたいことがあります。それは、ぜひ一人一人が夢や目標を持って高校生活を送ってほしいということです。夢や目標を持つことで、毎日がとても楽しく有意義なものになります。そして南山の一大イベントである体育祭においても伝統を引き継ぎながらさらなる向上を目指して頑張ってください。期待しています。
最後になりましたが、私たちを熱心に指導してくださった校長先生をはじめ諸先生方、一八年間私たちを育ててくれた両親、私たちを周りからサポートしてくださった地域の方々に心から感謝いたしますとともに長崎南山のさらなる発展を祈念して卒業生の言葉とさせていただきます。
平成24年3月1日
卒業生代表 中村 雅樹