4月6日(土)、本校の体育館で平成25年度長崎南山中学校・高等学校入学式が行われました。
●学校長式辞
平成25年度長崎南山中学校・高等学校入学式校長式辞
―新しい南山の歴史の担い手としての自覚と誇りを?
2013年4月6日 学校長 松本 勝男
今年は各地で記録的な大雪になったにもかかわらず、春の訪れが非常に早く、いつもなら入学式に花を添える桜も見ごろを過ぎてしまいました。異常気象のなせる業なのか、心配な所もありますが、私たち人間は、ただただ、自然の営みに身をゆだねるだけです。自然の優しさも自然の厳しさもありのままに受け止め、日々新たな気持ちで自らを磨き上げ、成長を遂げていきたいものです。
新入生の皆さん、保護者の皆様、長崎南山中学校・高等学校への入学、おめでとうございます。皆さんの入学を心から歓迎致します。皆さん一人ひとり様々な思いを持って今日の入学式に臨んでおられることと思いますが、皆さんは南山に望まれて入学したのだということを忘れないでほしいと思います。
第一志望で南山に入学してきた人もそうでない人も、それぞれに南山で果たすべき役割があるはずです。その役割に気づいた時、必ずや南山は皆さんにとってかけがえのない場所となっていくはずです。
ご承知の通り、今年度から「長崎南山リーダーシップ教育」がスタートします。皆さんはその先駆者です。南山の歴史の重要な証人となります。新しい南山の歴史の担い手であるという自覚と誇りを持って、これからの3年ないし6年間、この南山で充実した学校生活を過ごされることを願ってやみません。
「長崎南山リーダーシップ教育」は、南山の60年間にわたる教育活動を土台にした古くて新しい人間教育です。皆さんが受験や就職という目先のことだけでなく、自分の人生という長いスパンの中で、学ぶ意味や社会に奉仕する意味を考え、様々な問題が山積みになっている現代社会で活躍する力を養っていくことができるように、教職員一同心をこめて、とことん皆さんに付き合っていきます。
今年度の努力目標も「長崎南山リーダーシップ教育」の本質をがっちりつかんだものとなっています。皆さんに配布された「入学のしおり」にも載っていますが、覚えているでしょうか。
「セルフ:理想の自分へ グローバル:視野を広げ サーバント:役立つ人に」です。
「長崎南山リーダーシップ教育」の要にあるものは、「人間の尊厳のために」という教育目標であり、この教育目標を支える3つの校訓「高い人格」「広い教養」「強い責任感」が、3つのリーダーシップ、「セルフリーダーシップ」「グローバルリーダーシップ」「サーバントリーダーシップ」にそれぞれ連動しているわけです。皆さんはこれからの3年ないし6年間、この南山でいろいろなことを学び体験していくことになります。時にはたいへんなこともあるかもしれません。しかし、一つひとつの困難を乗り越えていくことによって、皆さんは一人の人間として成長し、視野が広がり、喜んで奉仕できる心が育まれていくはずです。
何も人前で目立つことをするだけがリーダーシップなのではありません。リーダーシップというものは、必ずしも華やかなものばかりではないはずです。大切なことは、皆さん一人ひとりが、人のために役に立っているという手応えを感じ、自分自身の成長を噛み締めながら、いつも前向きな生き方ができるようになるということです。
1991年の夏、「大事MANブラザーズバンド」という音楽バンドが、「それが大事」という曲を出し、その年の冬から翌年の春にかけて大ヒットしました。CDの売り上げは180万枚に上ったそうです。既にこのバンドは解散していますが、この曲は今日に至るまで折に触れてテレビやラジオに登場しているので、ご存じの皆さんも多いことと思います。特に歌い出しの歌詞はとても有名です。
「負けない事・投げ出さない事・逃げ出さない事・信じ抜く事 駄目になりそうな時それが一番大事」
この曲の作詞作曲をされ、バンドでボーカルをされていた立川俊之さんによると、この中で一番大事なのは、「信じ抜く事」だそうです。その後に「投げ出さない事」「逃げ出さない事」「負けない事」と続くのだそうです。立川さんによると、「全ての物事が信じられないと始まらないから」「信じ抜く事」が一番大事なのだということです。
これからこの南山で学校生活をスタートさせる新入生の皆さんも、どうぞ自分の可能性を信じ、自分の夢に向かって充実した毎日を過ごしてください。そんな毎日の積み重ねが、皆さんのリーダーシップを確かなものにしてくれるはずです。
これまでに南山を卒業したたくさんの先輩たちが、南山での3年ないし6年の間に、いくつもの困難を乗り越えながら自分を磨き上げ、自分の夢を叶えるための進学先や就職先を見つけ出し、自分の夢を叶えています。南山は自分の夢を叶える手がかりをつかむ場所であるということ、南山で努力したことは必ず報われていくということを信じてください。私たち教職員も皆さんの夢の実現のためにとことん協力していきます。
「長崎南山リーダーシップ教育」は、生徒ばかりがやらされるものではなく、生徒と教師が力を合わせて作り上げていくものだと思います。互いに学び合いながら生徒も教師も成長していくのが南山であり、実はこれまでの60年間、南山はこのようなスタイルを貫き通してきたのです。3年前の秋に立ち上げ、今では南山のロゴマークとして定着しているブランドコンセプト「伸びる南山、伸ばす南山」は、まさに生徒も教師も共に伸びていく学校のカラーを示しているものであり、リーダーシップ教育の先取りにもなっていると私は考えています。
式辞の冒頭で日本の異常気象について触れましたが、考えてみると日本という国は本当に自然災害の多い国です。例えば、毎年のように台風が接近または上陸しては雨風の被害が起こっています。また、火山活動の影響で火山灰や土石流の被害を受けたり、阪神淡路大震災や東日本大震災のように、大なり小なり地震の影響を受けたりすることも度々あります。しかし、どんなに自然災害に痛めつけられようとも、その度に立ち上がり立派に復興を遂げてきた底力を日本は持っています。ここに集う私たちにもまた、そんな力強い日本人の血が流れているということを忘れないようにしたいものです。
最後になりましたが、保護者の皆様におかれましては、数ある学校の中からご子息の進学先に長崎南山中学校・高等学校を選んでいただき、心から感謝申し上げます。これから3年ないし6年間、ご子息を大切にお預かり致します。ご子息共々「南山に通うことができて本当に良かった」と喜んでいただけるよう、教職員一同一生懸命頑張ってまいりますので、どうぞ南山の教育活動にご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
今日ここにお集まりの皆様一人一人の上に神様からの豊かな祝福を心から祈念し、学校長の式辞と致します。
●生徒代表歓迎の言葉
生徒会長 高校3年5組 千北龍太郎
日に日に春めいて、命の躍動する季節を迎えました。
新入生のみなさん、長崎南山中学校、高等学校へのご入学、おめでとうございます。
この学園にみなさんを迎えることを、私たち在校生は心からうれしく思っています。
今日、この日からみなさんは、この歴史ある、「長崎南山学園」の一員となり、中学生、そして高校生としての新たな生活が始まります。今、みなさん、それぞれの胸中には、期待や不安に満ちた様々な思いがあると思います。確かに、これまでの小学校や中学校での生活とは違った「厳しさ」や「忙しい毎日」が待っているのも事実です。しかし、みなさんの心がけや意識の持ち方次第で、充実した学園生活をおくることができるのが、この長崎南山学園なのです。
昨年、この学園は創立六十周年の節目を迎え、私たち在校生は先輩方の築き上げてこられた歴史の重みを、様々な行事の折りに実感すると共に、この伝統をしっかりと受け継いでいく決意を新たにしました。そして、六十一年目の今年度から、「長崎南山リーダーシップ教育」という新たな取り組みが始まります。この「リーダーシップ教育」とは、南山の校訓である「高い人格」、「広い教養」、「強い責任感」を具体化するための取り組みで、三つのリーダーシップで表現されています。
まず一つ目のリーダーシップが「セルフリーダーシップ」です。これは、私たち自身が主体的に、「なりたい自分」、「かなえたい夢」や「目標」を実現させる力を身につけるものです。一人ひとりが目標を意識し、勉強や部活動に全力で取り組むことで、自分の進路を切り拓いていかなければなりません。私自身、生徒会長という重責を務めながら、サッカー部の副キャプテンとして頑張っています。毎日の練習の後には、各教科から出される課題に取り組む過酷な日々の中で、本当に投げ出したくなることが何度もありました。しかし、「試合に勝ち選手権に出場したい」、「目指す志望校に合格したい」という強い意志で自らを鼓舞し、ここまで頑張ってきました。自分と向き合い自分自身を高めていくためにも、まずは、自分の夢や目標を持つことが必要です。
二つ目は「グローバルリーダシップ」です。異なる世界の価値観を理解し、自分の視野を広げると共に、自分の考えをしっかりと伝えていくことを意味しています。南山ではオーストラリアや韓国の学校と姉妹校の提携があるほか、アメリカの学校とも交流があります。異文化との交流に積極的に参加し、外の世界へ視野を広げていくことが、自分の将来を切りひらく原動力となるはずです。また、毎朝実施される「朝の読書」や「朝の心」を通じて、様々な知識や考え方を身につけていくことも重要になってきます。
三つ目は「サーバントリーダーシップ」です。自らが規範を示し、周りや組織を支援しながら目標を成し遂げる力を意味しています。一般的に「リーダーシップ」というと、自分が先頭に立って組織を引っ張っていくことをイメージしますが、「サーバントリーダー」は、周囲と協働し、組織で目標を成し遂げていくリーダーシップを意味します。南山では生徒会活動が活発に行われています。役員は八〇名と県内で最大規模の組織運営が成されています。もちろん周囲を引っ張っていくリーダーもいますが、役員一人ひとりが学校のために、何ができるかを考えて行動しています。クラスや部活動でも同じです。自分がクラスのために、チームのために何ができるか、常に考えて行動することが求められます。
以上の三つのリーダーシップを常に意識し、行動できるように、今年度の努力目標は「セルフ・理想の自分へ、グローバル・視野を広げ、サーバント・役立つ人に」となっています。
今日から南山学園の一員となるみなさんも、この三つのリーダーシップを学園生活の中で常に意識し、行動して下さい。三年後、または六年後、必ず社会の中で必要とされる人間に成長していると確信しています。そのためにも、まずは自分の「夢」や「目標」を明確にすることです。その「夢」や「目標」に向けて、日々努力を続けるその過程にこそ、「自分の成長」や「仲間との絆」、「充実した生活」があるはずです。南山では努力を続けるみなさんを先輩や先生方が熱心にサポートしてくれる体制が整っています。ですから安心して、前を向き歩んで下さい。
みんさん、私たちと力を合わせて、この学園の新しい歴史の一ページを刻んでいきましょう。
最後になりますが、みなさん一人ひとりの学園生活が充実し、心に残る素晴らしいものとなることを祈りながら、簡単ですが歓迎の言葉とさせていただきます。
平成25年 4月6日 在校生代表 千北 龍太郎