長崎南山学園のいじめ防止基本方針
「人間の尊厳のために」が本校の教育目標である。これは,一人一人の違いを認めて,お互いを大切にする態度を育んでいくことを意味している。個性の違いによって差別や嫌がらせをするなどの「いじめ」行為は,学校の建学の精神にそぐわない行為であることは言うまでもない。
長崎南山学園では,セルフ・リーダーシップ…授業やクラブなどの諸活動及び校外の講師による講演などを通して理想の自分へ向かう態度,グローバル・リーダーシップ…海外研修や「朝の読書」などを通して広い視野を持ち,論理的な考え方で発信ができる力,サーバント・リーダーシップ…校内外での活動を通して一人一人の役割を果たし組織によってなくてはならない存在となる心がけ…を備えた生徒を育て,社会へ送り出すことを目指していく。
? いじめの予防
●校内指導体制の確立
●「いじめ対策ハンドブック」の活用や研修会の実施・参加による教職員の指導力の向上
●全ての教科指導の中で,人権意識と生命尊重の態度の育成
●「朝の心」や宗教の授業などを通した,人間の尊厳,生き方を考える態度の育成
●生徒会活動を通した自己指導能力の育成
●「非行防止教室のための教師用指導資料」等を活用し,生徒の「規範意識」「思いやり」 の育成
●家庭・地域・関係機関との連携強化
? いじめの情報
? 情報の収集
●教職員,生徒,保護者,地域住民,その他から「いじめ対策委員会」に情報を集める。
? 指導・支援体制の組織化
●生徒からの報告・相談を受け→クラス担任→学年主任→学年会→部長主任会→「いじめ対策委員会」
で指導・支援体制を組む⇔関係機関
■「いじめ対策委員会」の設置
いじめを防止し,発覚した問題に組織的に取り組むため,「いじめ対策委員会」を次の通り設置する。
□メンバー:校長,教頭,事務長,教務部長,進路指導部長,生徒指導部長,各学年主任,チャプレーン,養護教諭
(必要に応じて当該クラス担任,スクールカウンセラー,外部専門家,保護者に入ってもらう)
□役 割:学年最初に,基本方針を確認,年間計画の作成
〇学期末にその学期の活動を検証・修正する
〇必要に応じて招集し個々の件について話し合い,対策や問題解決を図る
◆?ーA 生徒への指導・支援
● いじめられた生徒にとって信頼できる人(親しい友人や教員,家族,地域の人など)と
連携し,寄り添い支える体制を作る。
● いじめた生徒には,いじめは人格を傷つける行為であることを理解させ,自らの行為の
責任を自覚させるとともに,不満やストレスがあってもいじめに向かわせない力を育む。
行為によっては,職員会議などで話し合い, 特別指導(処分)の対象とする。
● いじめを見ていた生徒に対しても,自分の問題として捉えさせるとともに,いじめを
止めることができなくても,誰かに知らせる勇気を持つように伝える。
◆?ーB 保護者との連携
● つながりのある教職員を中心に即日,関係生徒(加害,被害とも)
の家庭訪問等を行い,事実関係を伝えるとともに,今後の学校との連携方法について話し合う。
● いじめた生徒に特別指導を行う 場合は,保護者召喚の上,指導内 容について説明をする。
● 随時,指導・支援体制に修正を加え,「組織」でより適切に対応する。
● 常に状況把握に努める。
〈1〉いじめの予防
いじめを生まない生き生きとした学校づくりに向け,校内の指導体制の確立,家庭・地域との連携強化,いじめの問題を自分たちの問題ととらえられる生徒の自己指導能力の育成などに努める。
○ いじめを生まない学校作り
ア. 校内指導体制の確立
特定の教職員が抱え込むことなく,いじめの重大性を全教職員で認識し,校長を中心に一致協力した指導体制を確立する。
イ. 教師の指導力の向上
「いじめ対策ハンドブック」を活用した研修を実施する等,いじめ問題に対する指導上の留意点などについて,教職員間の共通理解を図り,その観察力や対応力の向上に努める。
ウ. 人権意識と生命尊重の態度の育成
本校の教育目標である「人間の尊厳のために」の意味を考えさせ,人権教育の充実と,お互いを思いやり尊重し,生命を大切にする指導に努める。全ての教育活動を通して,社会性を培う取り組みや共感的人間関係を育成する指導・支援を継続する。
エ. 道徳的実践力を培う道徳教育の充実
本校独自の日課である「朝の心」の話を通して,また宗教教育を通して,いじめ防止や生命尊重等をねらいとした人としてあるべき姿の指導や取組を実践する。
オ. 子どもの自己肯定感の育成
生徒と教職員及び生徒同士の信頼関係を構築し,学校生活全体を通し,自他を認め合い一人一人に居場所のある学校生活の中で,「セルフ・グローバル・サーバントの各リーダーシップ」を育む教育等を推進し,自己肯定感を高める。
カ. 子どもの自己指導能力の育成
生徒会活動や行事への取り組みを通して,生徒が自主的に取り組む活動を計画的に仕組み,指導・支援する。その中で仲間はずれを許さず,それぞれが自分のできることで集団に寄与する体験をさせ,生徒の「規範意識」や「思いやりの心」の育成を図る。
キ. 家庭・地域,関係機関との連携強化
家庭や「育友会」,地域の関係団体とともに,いじめ問題等について協議する機会を設け,いじめの根絶に向けた地域ぐるみの対策を推進する。また,学校・保護者・地域等が一体となった取組を推進する。
ク. 学校基本方針の周知
年度始めには,いじめ問題に対する学校の基本方針や保護者の責任等を明らかにし,保護者や地域の理解を得る。また,より多くの大人が子どもの悩みや相談を受け止めることができるようにする。
ケ. 学校基本方針による取組の評価
学校基本方針による取組の状況について,「いじめ問題への取組についてのチェックポイント」等を定期的に活用し,計画的かつ継続的な点検・評価に取り組むとともに,いじめに対する教職員の問題意識を持続させる。
〈2〉いじめの早期発見
子どもに関する情報を全職員で共有することは,いじめ問題への具体的取組の第一歩である。このため,日頃から生徒の見守りや信頼関係の構築等に努め,生徒が示す変化や危険信号を見逃さないようなアンテナを高く保つ。あわせて,定期的なアンケート調査や教育相談の実施,さらには,メッセージ「長崎県の子どもたちへ」等の活用により,生徒がいじめを訴えやすい態勢を整え,いじめの実態把握に取り組む。
○ 早期発見のための措置
ア. 教職員による観察や情報交換
生徒のささいな変化に気づいた場合,教職員がいつでも情報を共有できる工夫(5W1Hメモなど)を行う。
イ. 定期的なアンケート調査や個人面談等の実施
生徒の生活実態について,定期的なアンケート調査や個人面談,生活ノートの活用等,きめ細かな把握に努める。
ウ. 教育相談体制の整備
校内に生徒や保護者等の悩みを積極的に受け止めることができる教育相談体制を整備する。また,その充実に向け,スクールカウンセラーなど,学校内外の専門家の活用を図る。
エ. 情報の収集
生徒の悩みや相談をより多く受け止めることができるように,「育友会」など関係団体と組織的に連携・協働する体制を構築する。
オ. 相談機関等の周知
学校以外の相談窓口について,周知や広報を継続して行う。
〈3〉いじめに対する措置
いじめの発見・通報を受けた場合には,特定の教職員で抱え込まず,速やかに組織的に対応する。被害生徒を守り通すとともに,教育的配慮の下,毅然とした態度で加害生徒を指導する。これらの対応について,教職員全員の共通理解,保護者の協力,関係機関・専門機関との連携の下で取り組む。
○ 実際の対応
ア. いじめの発見や相談を受けた時の対応
遊びや悪ふざけに見えても,いじめと疑われる行為を発見した場合は,その場でその行為を止める。生徒や保護者からいじめの相談や訴えがあった場合は,真摯に傾聴する。ささいな兆候であっても,いじめの疑いがある行為には,早い段階から的確に関わりを持つことが必要である。その際,いじめられた生徒やいじめを知らせてきた生徒の安全を確保する。また,正確かつ迅速な事実関係の把握に努めるとともに,事実を隠すことなく,保護者等と協力して対応する体制を整える。
イ. 組織的な対応
発見・通報を受けた教職員一人で抱え込まず,学年部会そして「いじめ対策委員会」へ報告し,その情報を共有する。その後は,当該組織が中心となり,速やかにその指導・支援体制を組み,対応の組織化を図る。
ウ. いじめられた生徒及びその保護者への支援
いじめられている生徒から,事実関係の聴取を行う。その後,心のケアや様々な弾力的措置等,いじめから守り通すための対応を行う。また,家庭訪問等により,確実な情報を迅速に保護者へ伝え,今後の対応について保護者と情報を共有する。あわせて,いじめられた生徒にとって信頼できる人(親しい友人や教職員,家族,地域の人等)と連携し,いじめられた生徒に寄り添える体制を作る。状況に応じて,心理や福祉等の外部専門家の協力を得る。
エ. いじめた生徒への指導またはその保護者への助言
いじめたとされる生徒からも事実関係の聴取を行い,いじめが確認された場合,学校は組織的に,いじめをやめさせ,その再発を防止する措置をとる。いじめの状況に応じて,心理的孤立感・疎外感を与えないよう一定の教育的配慮の下,特別の指導計画による指導(出席停止も含む)の他,警察等との連携による措置も含め毅然とした対応を行う。また,確実な情報を迅速に保護者へ伝え,継続的な助言を行う。
オ. いじめの事実調査
アンケート調査等を実施し,その結果を基に,聞き取り対象者の絞り込みを行う。
カ. 集団への働きかけ
はやし立てたりおもしろがったりする存在の「観衆」や,周辺で暗黙の了解を与えている「傍観者」の中からいじめを抑止する「仲裁者」が現れるよう,あるいは誰かに相談する勇気を持つよう指導する。互いを尊重し,認め合う人間関係を構築できるような集団作りに努める。
キ. 継続的な指導
いじめが解消したと見られる場合でも,継続して十分な注意を払い,折に触れ必要な指導を行う。
ク. ネット上のいじめへの対応
ネット上の不適切な書き込み等については,被害の拡大を避けるため,直に削除する措置をとる。また,必要に応じ,警察や法務局等と適切な連携を図る。
いじめ防止について
総論(文科省及び県の基本方針より)
いじめの問題への対応は学校における最重要課題の一つであり,学校が一丸となって組織的に対応することが必要である。
いじめから一人でも多くの子どもを救うためには,子どもを取り囲む大人一人一人が,「いじめは絶対に許されない」,「いじめは卑劣な行為である」,「いじめはどの子どもにも,どの学校にも,起こり得る」との意識を持ち,それぞれの役割と責任を自覚しなければならず,いじめの問題は,心豊かで安全・安心な社会をいかにして作るかという,学校を含めた社会全体に関する国民的な課題である。
いじめの定義
「いじめ」とは,児童等に対して,当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって,当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
(「いじめ防止対策推進法第2条」)
◎具体的ないじめの態様(例)
(1)冷やかしやからかい,悪口や脅し文句,嫌なことを言われる
・身体や動作について不快なことを言われる
・存在を否定される
・嫌なあだ名をつけられ,しつこく呼ばれる
(2)仲間はずれ,集団による無視をされる
・対象の子が来ると,その場からみんないなくなる
・遊びやチームに入れない
・席を離される
(3)ぶつかられたり,叩かれたり,蹴られたりする
・身体をこづかれたり,触って知らないふりをされたりする
・殴られる,蹴られるが繰り返される
・遊びと称して対象の子が技をかけられる
(4)金品をたかられたり,隠されたり,盗まれたり,壊されたり,捨てられたりされる
・脅され,お金を取られる
・靴に画鋲やガムを入れられる
・写真や鞄,靴などを傷つけられる
(5)嫌なことや恥ずかしいこと,危険なことをされたり,させられたりする
・万引きやかつあげを強要される
・大勢の前で衣服を脱がされる
・教師や大人に対して暴言を吐かせられる
(6)パソコンや携帯電話等で,誹謗中傷や嫌なことをされる
・パソコンや携帯電話の掲示板,ブログに恥ずかしい情報を載せられる
・いたずらや脅迫のメールが送られる
・SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のグループから故意に外される
これらの「いじめ」の中には,犯罪行為として取り扱われるべきと認められ,早期に警察に相談することが重要なものや,生徒の生命,身体又は財産に重要な被害が生じるような,ただちに警察に通報することが必要なものが含まれる。これらについては,教育的な配慮や被害者の意向を考慮し,警察に相談・通報の上,警察と連携した対応をとることが必要である。